紙の今むかし

紙が生まれる前

中国

中国民族は早くから文字を発明し、様々な書写材料への記録を試みてきました。 紀元前15-10世紀殷の時代には、亀の甲羅や動物の肩甲骨などの「甲骨」を使って、占いなどの記録を残していました。
紀元前7世紀になると、「絹帛」と呼ばれる絹布が使われるようになりました。しかし、たいへん高価な貴重品だったため、やがて木や竹の板で作った「簡とく」(木簡・竹簡)が用いられるようになりました。
その簡とくも何枚もの板を紐でつなげて束ねなければならず、長い文書などを記録するにはあまりにもかさばりすぎるという欠点があり、次第に次なる書写材料が求められるようになりました。

インド

古代インドでは「バイタラ葉」が使われていました。ヤシ科の木の葉をくりかえし乾燥させたり水に浸したりして、最後に貝などで表面を磨きあげました。その表面に竹ペンなどで墨書きをしていました。まとまったバイタラ葉は紐でとじられ本の形で用いられました。

エジプト

英語のpaper(ペーパー=紙)の語源ともなっている「パピルス」とは、エジプトのナイル川の岸辺に生える 草の名前です。紀元前3000年頃のエジプトでは、このパピルスの茎の髄を薄くはぎ、水に浸したあと、縦横に並べ紙のような形にしてから、上から叩いて密着させてパピルス紙を作りました。繊維が横に走っているほうが表、縦に走っているほうが裏です。そこに植物の茎を尖らせて作ったペンにインクをつけて使っていました。

メソポタミア

粘土板チグリス、ユーフラテスの二つの大河にはさまれた世界最古の文明の発祥地では、紀元前3000年頃から 粘土板が使われました。板状にした粘土の上に、葦の茎を削って作ったペンで楔形文字を記したのです。粘土板は保存しやすいという利点はありましたが、重く て運びにくかったので、次第にパピルスや羊皮紙に取って代わられるようになりました。

ギリシャ

紀元前300年頃からギリシャでは「パーチメント」と呼ばれる、子羊の皮で作った羊皮紙が使われていました。また「ヴェラム」と呼ばれる子牛皮のものもありました。パーチメント(羊皮紙)は丈夫で書きやすく折りたたむこともできましたが、作るのにとても手間がかかり高価なものでした。
パーチメントは、4世紀頃にはパピルスにとってかわる書写材料としてヨーロッパ各地に普及し、大事な書類・公文書などでは13、14世紀まで使われていました。